ピアノの購入を検討しているとき、また、すでにピアノを持っているが、引っ越しを考えているときに気になるのが、搬入と設置です。ピアノは大きな楽器ですから、もちろん自分では運べません。また、重量がありますので、設置するときにも普通の家具とは違う注意が必要になります。今回はそのようなピアノの搬入と設置についてご紹介していきましょう。
ピアノの重量ですが、アップライトピアノで210~275kgになります。そして、グランドピアノの場合では255~410kgの重さとなるのです。これは、成人男性の3人から4人分くらいの重さに相当します。予想外に重いと思う方も少なくないでしょう。この重量ですから、設置する場所には十分な配慮が必要となります。住宅の状況は個々に違いますが、構造的に脆い場合には建物が傷んでしまう可能性もあります。賃貸住宅では大きな問題となることもあるので、管理会社に相談するなど事前に準備をしておきましょう。場合によっては床の補強をする必要も出てくるでしょうが一概にすべての住宅で床補強をした方がいいとは言えません。ちなみに、建築物の床の積載荷重は法律によって定められており、1平方メートルあたり180kgの重さに耐えることができるとされています。ピアノの重さが一般的に200kgを超えるのが多いので、もしピアノを家に置く場合は床が重さに耐えられるか十分に検討する必要があるでしょう。
ピアノは大きな楽器だとわかっていても、どれくらいの寸法なのかはあまり知られていないかもしれません。新しく設置するには寸法を知りことが非常に重要になってきます。まず、一般家庭でよく置かれているアップライトピアノから見ていきましょう。
日本でのピアノのシェアが大きいYAMAHAの場合、アップライト型だと間口は147~156cm×奥行き60~68 cmとなっています。高さは121cmタイプと131cmタイプのものがあります。間口の長さは子供の身長と同じくらいと考えれば良いでしょう。奥行きは冷蔵庫と同じくらいになります。
グランドピアノの場合では高さは100cm前後、間口は150cm前後となり、アップライトピアノと大きな差はありませんが、奥行きが149~227cmと倍以上になります。この点が大きな違いなので、新しく購入する際には気をつけてください。また、注意したいのはこのサイズのスペースを確保したとしても、椅子を用意して人が演奏するスペースがないと意味がありません。余裕を持って設置場所を検討してください。
上記のようにピアノの設置場所は重量に対して配慮する必要があります。しかし、そのほかにも注意すべきことがあります。まず、直射日光です。ピアノは塗装が施されていますので、直射日光によって傷んでしまう可能性があります。また、温度変化によってソリなどが出て、音色が変化することも考えられます。部屋の奥に設置するか、カーテンなどで対策をしてください。また、湿気に対しても注意が必要です。湿気が多いと最悪はカビの発生もありえます。エアコンの近くは結露の危険もありますし、床暖房の上もあまりよくありません。しっかりと対策をしてから設置するようにしましょう。
もうひとつの注意点としてはお部屋の内装との調和です。ピアノは大きな楽器なので、お部屋の中でとても存在感があります。あまりにもインテリアとかけ離れていると浮いてしまう印象がでてしまいます。ただ、ピアノ自体はシンプルな黒や茶色といったカラーが多いですから合わせやすいともいえます。ピアノのことも考慮して設置する部屋のインテリアを考えることも必要だと思います。
ピアノはご紹介したように大きく、そして重いです。ただ、それだけであれば、自分でも何人か人を集めれば運べると思うかもしれませんが、そう簡単ではありません。ピアノは楽器ですから繊細な調整が施されていて、少しでも傷がついたり変形したりすれば、音色が変わってしまいます。普通の引越し業者でもピアノは扱わないところがほとんどです。搬入や運搬は専門業者に依頼しましょう。依頼方法は引越し業者と同じで、ピアノの型番などを伝えて見積もりを取ります。費用はピアノの型、現在の住居や新居のタイプ、設置する階数やエレベーターのタイプなどによって変動します。
ピアノの運送と搬入はとても慎重におこなわれます。マンションの場合は基本的にエレベーターを使用しますが、入り口からお部屋まで慎重に養生されて大切に運ばれていきます。取り外せる部分は取り外して、ピアノ自体も大切に専用の梱包材で梱包され、搬入後は元の状態に戻してくれます。ピアノは非常にデリケートなものですから、後から後悔しないためにも、運搬や搬入は専門業者に依頼しましょう。