誕生から300年以上にわたり、さまざまな改良が加えられてきたピアノ。最高の音色を求めるべくドイツで作られたのが、「Klavins-Piano Model 370」という巨大なグランドピアノです。
その大きさは全高3メートル、総重量は2トンにもなる巨大さで、小型のパイプオルガンの大きさに匹敵します。高さも2階建ての建物ほどあり、演奏者は2階にのぼって演奏するという構造です。
「Model 370」を製作したのは、ドイツ生まれのラトビア人「デイビッド・クランビス」。製作された1987年当時、世界最大のピアノとしてギネス世界記録にも認定されました。
一般的な大きさのピアノには再現できない、表現力豊かな⾳⾊と重厚な音が特徴。製作から35年以上経った今も、聴く人に感動を与え続けています。
クラビンス氏は、自身が製作したModel 370を超える大きさのグランドピアノ「MODEL 470i」を2019年に製作しました。スチール製フレームが高さ6メートル、一部の弦は長さ5メートルと前作を大きく上回る大きさで、現在は「MODEL 470i」が世界一のグランドピアノと言われています。
ピアノが奏でるのは、重厚で迫力のある轟音。ラフマニノフやスクリャービン、ベートーヴェンのソナタなど、豊かな表現が求められる曲の演奏に適していると言います。
クランビス氏の「ピアノをコンサート空間に組み込みたい」という想いが実現し、現在はラトビア西部の都市、ベンツピルスのコンサートホールの壁に組み込まれています。
世界一小さいピアノについてギネス記録などには記載されていませんでしたが、日本の玩具メーカーであるセガトイズの「グランドピアニスト」が、現在ギネス申請の準備中となっています。
高さ18センチ、幅25センチ、奥行き33センチと卓上に乗るほどの大きさです。鍵盤の幅は約4ミリと繊細ですが、実際に人の手で弾ける精巧なつくりとなっています。価格も4万9,350円と、本物のグランドピアノと比べて非常にお手頃な価格です。
ただ、グランドピアニストの分類は電子ピアノで、音色も電子ピアノに準ずるものとなっています。自動演奏機能がついていて、直接弾かなくてもクラシックやジャズなど100曲を奏でられます。自動演奏機能の選曲を担当したのは、世界的なバイオリン奏者・葉加瀬太郎氏。見た目は小さくても本物のピアノのような臨場感を味わえそうです。